伊豆、今井浜海岸2014/01/04 22:30

あけまして、おめでとうございます。今日、雪の札幌に帰ってきました。

今回の年末帰省旅行は、伊豆に行ってきました。まず行ったのは、南伊豆の今井浜温泉。温泉旅館の今井荘に泊まりました。ここは、私たちが、20年前のミニ新婚旅行で泊まった、思い出の旅館です。

なぜか、次の間付きのりっぱな部屋に泊まることになりました。お料理も、金目鯛など、豪華です。窓からは、伊豆大島、新島など、伊豆七島が見渡せます。なかなか、満足できる旅行になりました。

絵は、今井浜海岸です。

魯山人の星岡窯跡2014/01/05 19:58

伊豆の次には、鎌倉に寄りました。以前から気になっていた、北大路魯山人の窯跡を訪ねるためです。魯山人は、北鎌倉の郊外に、陶芸の窯、”星岡窯”を持っていました。田んぼのある、のどかな場所でした。

この窯跡は、北鎌倉の北西、山崎小学校の裏にあります。私たちが行ったときには、ちょうど、隣に住んでいる御婦人が外に出ていて、当時の話をしてくださいました。それによると、残っていた建物は、放火によって焼失したそうです。現在残っているのは、絵に描いた門だけです。

ここでは、彫刻家のイサム・ノグチと女優の山口淑子も、その新婚時代を過ごしました。魯山人は、イサムの才能を見抜き、陶芸を教えたりしました。

ちなみに、窯跡の母屋は笠間に移築され、”春風万里荘”として公開されています(思い出の美術館74)。

カイユボット展2014/01/06 20:20

帰省のついでに、銀座のブリジストン美術館でやっている、”カイユボット展”を見てきました。カイユボットは、19世紀末の印象派のひとりです。印象派の中では裕福で、仲間の画家たちを経済的に援助しました。モネやルノアールに比べれば、知名度は低いですが、現在、再評価が進んでいるそうです。

この展覧会は、彼の作品を、特に近代パリの風俗を描いたものに注目して展示しています。代表的な展示作品は、”ヨーロッパ橋”、”ピアノを弾く若い男”、”イエール川のペリソワール”、”建物のペンキ塗り”などです。ヨーロッパ橋は、パリのサン・ラザール駅の近くにある、鉄製の橋です。この時期、パリは、石から鉄の時代へと移りつつあります。

彼は、写真を趣味としており、パリの町並みを写した写真も、多数、展示されています。さらに、絵にも描かれた、彼のピアノもありました。

一連の水面を描いた絵が、印象に残りました。タッチは、他の印象派の画家たちと同じなのですが、よりきらめいている感じがします。

それにしても、会場が混んでいるのには驚きました。知名度が低いのに、不思議です。

思い出の美術館159:池田20世紀美術館(伊東、静岡)2014/01/11 19:47

伊豆の伊東から、シャボテン公園行きのバスに乗って、南に進み、美しい一碧湖を越えてしばらく行ったところに、この美術館があります。印象派から20世紀美術までを中心とするコレクションを持つ、美術館です。

このコレクションおよび美術館は、ニチレキ株式会社社長の、池田英一氏によるものです。

おもな収蔵品は、シニャック”アンチーブ風景”、ルノワール”カーニュ風景”、ココシュカ”アルジェリアの女”、コクトー”アルルカン”、ダリ”炎のキリン”、ウォーホール”マリリン・モンロー”などです。

シニャックの作品は水彩で、油絵とは一味違った、軽快な作品です。これはこれで、なかなか捨てがたいですね。 ココシュカ の作品も、意外な感じで、印象に残りました。 小規模ながら、充実した展示です。 ただし、展示作品リストが無かったのが、ちょっと残念。

美術館前庭の木には、みかんがたわわに実っていました。帰りに、一碧湖に向かって歩いて行くと、富士山が見えました。

映画”ハンナ・アレント”2014/01/12 13:09

話題の映画、”ハンナ・アレント”を見てきました。ハンナ・アレントは、ユダヤ人で、ハイデッガーの弟子の哲学者であり、第二次大戦中に強制収容所に収容された経験があります。

物語は、ナチのアイヒマンのイスラエルでの裁判を、彼女が傍聴して、ニューヨーカー誌に記事を発表するという史実に基づいています。多くのユダヤ人を死に追いやったアイヒマンは、悪魔では無く、”凡庸な役人”に過ぎなかったことが彼女を驚かせます。真に問題なのは、考えることをやめてしまった、凡庸な人間による悪であるという考察に、導かれます。

実に面白い映画で、引き込まれました。学生のころ、彼女の”全体主義の起源”を読みましたが、また、読みなおしてみたくなりました。

そう言えば、安倍晋三も、印象の薄い”凡庸な人間”ですね。