思い出の美術館139:サグラダ・ファミリア地下博物館(バルセロナ、スペイン)2010/09/26 20:24

ガウディの代表作、サグラダ・ファミリアは、 バルセロナの地下鉄2号線のサグラダ・ファミリア駅を降りたところにあります。聖堂を見学した後、受難のファサードの西の入り口から地下に入って行くと、地下博物館があります。ここには、ガウディの生涯と、サグラダ・ファミリア建設の過程が、展示されています。

サグラダ・ファミリアの建築は、始め、他の建築家に依頼されていましたが、教会側との不和によってその建築家は辞任しました。そのあと、若きガウディが、2代目の建築家として就任しました。結局、この大聖堂は、彼の一生の(一生を越えた)プロジェクトとなりました。

この博物館には、彼のいくつかの建築設計図が展示されています。ただし、この大聖堂に関しては、ちゃんとした設計図はなくて、石膏模型だけが残されたそうです。しかも、その模型は、スペイン内戦中に、破壊されてしまいました。その破片が、ここに展示されています。そして、その石膏模型の研究は、現在でも続いていて、その様子をここで見学することができます。

面白いのは、彼が、設計のために作った、ひもとおもりのモデルです。おもりを付けたひもの作る曲線を、重力に対抗する自然な曲線であると、彼は考えました。そして、それを上下ひっくり返した曲線を、アーチとして採用しました。

彼のデザインが、植物や、動物の骨、幾何学曲線などから、いかにして発想されたかも、展示されています。奇抜と思われるデザインも、彼にとっては、ある種の合理性に基づいているのですね。

博物館の奥の1部屋から、下をのぞくと、ガウディの墓があります。ちなみに、彼は、路面電車による交通事故で死去しました。彼の死後も、ここの建築は100年以上続いています。最近になると加速しているので、あと10数年で完成するという説もあります。