思い出の古寺72:大谷寺(宇都宮、栃木)2012/10/13 19:56

東京から電車で2時間ほどで、「ぎょうざの町」、宇都宮に着きます。宇都宮の北西、約10kmのところにあるのが、大谷石で有名な、大谷市です。ここの、石切り場の近くにあるのが、歴史ある古刹、 大谷寺です。ここは、坂東三十三観音巡礼霊場の19番でもあります。

本堂は、崖下のくぼみに、すっぽりはまりこんでいます。覆いかぶさるような、岸壁の奇観は見物です。 寺伝によれば、この寺は、平安時代に弘法大師が、岸壁に千手観音を刻んだのが起源ということです。江戸時代には、徳川将軍家の帰依を受けて栄えました。

本堂に入ると、岩の表面に浮き彫りにされた、本尊の千手観音像があります。おそらく平安時代の作とされています。大谷石はやわらかいので、摩耗が進んで、細部はわからなくなっていますが、格の高い見事な像です。脇堂には、釈迦三尊、阿弥陀三尊、薬師三尊の浮き彫りがあります。こちらは、わりと新しい、江戸時代くらいの像でしょうか。

境内には、宝物館があり、ここには仏教関係の展示のほか、付近(大谷岩陰遺跡)で発掘された縄文時代の石器や土器も展示されています。この近くには、巨大な平和観音もありますが、これは昭和の作です。